手術のリスクに徹底して向き合う
インプラント手術を受けることになった皆さんは、
きっと「不安だな、怖いな」というお気持ちだと思います。
特に手術が初めてという方の場合、最悪の事態を想定して不安感が募るのは当然です。
手術という医療行為自体がどうしてもある程度のリスクを伴うものではあります。
当院では、「万が一に備える」ことの重要性をスタッフ一同共有し、
「安心・安全・確実」なインプラント治療を目指しています。
インプラント埋入手術の
事故発生件数
日本顎顔面インプラント学会の調査によると、
2009年から2011年の3年間の事故発生件数は471件(図1)、
2012年から3年間は360件(図2)
2015年から3年間は247件(図3)と、
事故発生件数は減少傾向にあります。
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その理由としては、教育機関である大学や学会などによって医療安全の推進が図られたことや、
インプラントの診断技術が進歩したことなどが考えられます。
インプラント治療の安全性は徐々に向上していますが、
年間に3桁の事故が発生しているのもまた事実です。
安全で安心な医療の提供を目指して
今日、医療機関に求められていることは、
「安全で安心な医療」「質の高い医療」「根拠に基づいた医療」を実践することです。
この中でも「安全で安心な医療」、つまり事故がなく
患者さまが安心できる医療の提供は、医療の礎となる責務です。
医療事故の防止に務めることは、医療機関に課せられた使命であると考えます。
例えば、自然災害がおこらないようにすることはできませんが、
災害の被害を最小限に抑えることは可能です。
そのためには日ごろからの備えが大切です。
医療安全対策も同様で、医療事故をゼロにすることを目指して
安全のための備えをしておくことが重要です。
インプラント手術における
コンピュータ支援手術
インプラントの手術領域の顎骨やその周りの組織には、重要な血管や神経系があるため、
手術時のドリリングで血管や神経を傷つけないようにすると同時に、
インプラントを設計通りの位置に正確に埋入することが求められます。
インプラントにおける医療安全の備えには様々なものがありますが、
近年開発されたインプラント手術のための「コンピュータ支援手術」の活用は大変効果的です。
コンピュータ支援手術の種類
コンピュータ支援手術は、
「スタティックナビゲーション」と
「ダイナミックナビゲーション」の
大きく2つに分けられます(図2)。
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どちらも、手術前には必ず歯科用CT
(一般の医科用CTに比べ被曝量が少なく、細かいスライスが可能な撮影装置であり、主に歯や顎骨の撮影用)
を使用してインプラントの埋入を予定している顎骨の断層撮影を行い、
そのデータをもとに顎骨の3次元モデルを構築し、
3次元モデル上でインプラントの埋入位置を正確に計画します
(インプラント埋入シミュレーション)(図3)。
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スタティックナビゲーションは、
インプラント埋入シミュレーションを基にサージカルテンプレートを製作し、
サージカルテンプレートの誘導孔から顎骨の切削を行います。
それによって、「事前に計画された位置・深さ」にインプラントを正確に埋入することが可能です。
もう一方のダイナミックナビゲーションは、
インプラントの埋入位置をリアルタイムで案内するナビゲーションシステムのことで、
スタティックナビゲーションと同様に、
あらかじめ計画した位置にインプラントを埋入するためのルートを正確に案内するものです。
基本的な仕組みは自動車のカーナビゲーションシステムと同様で、
術者をサポートし、インプラントの埋入精度を高める新しい機器です(図4)。
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ダイナミックナビゲーション システムの導入について
患者さまの不安や恐怖心を和らげつつ良好な治療結果を得るためには、
先ほど述べた「安全で安心な医療」「質の高い医療」「根拠に基づいた医療」の3つが重要です。
そのためには、口腔の形態や構造を深く理解し、
高度な技術を有する経験豊富な歯科医師による執刀はもちろんのこと
適切な設備と信頼のおける医療材料、術前・術中・術後の全身管理も重要です。
加えて、従来のインプラント手術に新しい技術を導入することにより、
いっそうの安全性と安心をお約束できると考えます。
当院ではスタティックナビゲーションに加え、
新世代の「ダイナミックナビゲーションシステム(X-Guide®、X-Nav Technologies, Lansdale, PA, USA)」を導入いたしました。
これまでは術者の経験や勘を頼りに行われてきたインプラント手術にデータ分析による裏付けが加わり、
さらに安全性の高い手術が行えるようになりました。
一方、コンピュータといえ万能ではありません。
ナビゲーションシステムを信用しすぎてしまうことで、
「何かおかしい」という異変に気づかずに手術を継続してしまうことは非常に危険です。
コンピュータ支援手術は、「支援」という言葉が
入っているとおり、サポートであって、あくまで歯科医師の技術の一部を助けるに過ぎません。
当院では、最新技術を取り入れつつ、コンピュータの支援がなくとも
手術を行えるよう歯科医師の技術向上にも取り組んでいます。
コンピューター支援外科による手術の流れ
コンピュータ支援手術では、インプラントの術前検査で撮影した顎骨の断層撮影データを
コンピュータに取り込み、顎骨を三次元モデル化します。
三次元化された顎骨モデル上でインプラントの埋入シミュレーションを行い、
その結果を用いて、インプラント手術を行うのです。
ダイナミックナビゲーションの場合には、手術中にナビゲーションシステムを使用して、
顎骨を切削するためのドリルの位置をリアルタイムで追跡し、
埋入方向、角度、深さをナビゲーションさせることで、
インプラントを事前に計画した位置に確実に埋入することが可能となります(図5)。
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こうしたナビゲーションによるインプラント埋入は、
フリーハンドの手術に比べてインプラントの埋入精度を向上させます(図6)。
インプラントを正確に埋入できることは、治療に関わるすべての人、
特に患者さまとって大きな安心感をもたらすものと考えます。
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手術リスクに徹底して向き合います
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